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旅順口 土産物屋の売り込み

2014年02月13日

 中国遼寧省大連市にある203高地から見下ろすと、天気が良ければ、旅順港を一望することができる。遼寧半島の南端にある港と外洋の境目には、両側から弁のように岬が覆いかぶさる。巾着袋を絞ったような、軍港としては理想的な形をしている。日露戦争のさなか、両軍多数の死者を出しながら、奪取、死守を試みた港だ。

 激戦に思いをはせながら眺めていると、怪しい日本語で現地女性が近寄ってきた。「ここでしかないキーホルダー、あるよー。見るのはタダよ」。旅順口の観光は、外国人には2009年に開放された。ドラマ「坂の上の雲」でさらに有名になり、来訪者のほとんどが日本人という。そのため、203高地の頂上には、日本人だけを狙った土産物屋がある。

 大連中心部にある旧満鉄本社を改造した展示館には、満鉄のマークを施した茶わんや酒器が「当時のもの」として売られている。どれも日本円で1万円近く。本物かどうか不明だが、そこでも売り込みにへきえきした。

 203高地の売り子たちも、50メートル近く後を追ってきた。頂上にある乃木希典将軍が建てた戦死者の慰霊碑には、「日本軍国主義による侵略の罪の恥」とプレートが付けられていた。

 したたかさに苦笑いしながら、高地を駆け下りた。 (今村太郎)

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