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ソウル 「キムジャン」の季節

2014年02月21日

 年に1度の「キムジャン」の季節を迎えた。本格的な冬の到来を前に、家族や親戚が集まって大量のキムチを漬けて分かち合う、韓国独特の習慣だ。

 青果売り場には大量の白菜が並び、壁には「配達無料」の張り紙。新聞をめくると、スーパーの全面広告には「白菜を3箱以上買えば10%追加割引」の誘い文句が並ぶ。

 おいしいキムチを漬けるには一定の寒さが必要なため、気象庁は毎年、各地域別にキムジャンに適した日を発表する念の入れようだ。韓国の北部から徐々に「キムジャン前線」が南下していく。

 自分の手でキムチを漬けて食べてみようと思い立ち、ソウル市内にある外国人向けの体験施設を訪ねてみた。大手メーカーの直営で会場は料理教室のような雰囲気だった。

 白菜を切り分けて塩に漬け込み、味の決め手となる薬味のヤンニョンを作る。この準備が重要で味を左右するのだが、今回は体験教室。ここまでは準備されていて、私が担当したのは白菜の葉の隙間に薬味を塗り込む最終工程だけだった。

 キムジャンの奥深さをかじった程度だったが、思った以上に満足したのは作りたてを堪能できたから。浅漬けのシャキシャキした歯応えと辛み、マッコリの甘みがよく合うこと。今度は、キムチチャーハンでも作ってみようか。 (中村清)