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ストックホルム スケートの落とし穴

2014年04月30日

 1月中旬に訪れたスウェーデンの首都ストックホルムは、雪が時折激しく舞っていた。

 最低気温は氷点下10度。それでも「今年はとても穏やか。クリスマスには雪がなく、子どもたちはがっかりしていた」という。

 大小の島々からなる水の都は、島の間の運河が少しずつ凍り始めていた。全面結氷すれば、格好のスケートリンクになる。

 ITコンサルタント業のラーリンさんが、こんな失敗談を話してくれた。

 運河の氷は、橋の下が薄い。その日も橋に差しかかると、ストックで慎重に凍り具合を調べて進んでいた。ある橋を順調に通り過ぎたと思ったら突然、ひび割れが走り、ドボン。着替えを持ってくる妻を有料の公衆トイレで待とうと、ポケットから取り出した小銭も手からこぼれ落ちてポトン。「30分間、ぶるぶる震えながら待った」と、ジェスチャーを交えて笑わせてくれた。

 落ちた場所に最近まであった橋は近くに架け替えられたばかりだったと分かった。そんなアクシデントがあっても、スケートは冬の一番の楽しみだそうだ。 (石川保典)