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ワシントン ビルマとミャンマー

2014年04月28日

 ワシントンにある中華街の片隅。古ぼけた雑居ビルの薄暗くて狭い階段を上がり、殺風景なドアを開ける。その向こうには、壁が派手な黄色に塗られた「ビルマ」料理店の世界が唐突に広がっていた。何とも食欲をそそる香辛料の香り。どこか和食と重なり合うような味付け。常連になりかけていた。

 年末に訪れたが長い列ができていて、数時間は空きそうもない。次の日も。年明けに行ってみると、ビルの再開発で業者が調度品を搬出中だった。気が付かなかったが、閉店を惜しむファンの混雑だったのだ。

 地元紙の記事によると、クーデターを起こした軍事政権が1989年に「ミャンマー」と国名を変更した翌年に「ビルマレストラン」の名で開店。民主化運動家も集う店で店名変更は常に話題になったが、祖国への思いを胸に店主は「ぜったいにしない」と答えてきた。

 日本と異なり、軍政を認めない米政府は一貫して「ビルマ」と呼び続ける。しかし、民主化の進展で近年「ミャンマー」と呼ぶ場面が出てきた。いつか店が再開するとき、名前は「ミャンマーレストラン」になっているだろうか。 (斉場保伸)

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