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ソウル 客の目利きもお任せ

2014年05月05日

 ソウル有数の繁華街・明洞を家族で歩いていた。「セールですよ。安いです」。化粧品店の前で、日本語で呼び掛けられた。あれ? ついさっきまで中国語だったのに。いくつかの店を通り過ぎながら観察すると、女性店員たちは例外なく、行き交う客によって中国語と日本語を瞬時に使い分けていた。

 押し寄せる人波。いったい、どこで日本人と中国人を次々に見分けているのだろう。ある店の女性に聞くと「服装でほぼ分かる」と教えてくれた。「日本の女性はきれいに着飾っている感じ。中国人は動きやすくて楽な格好の人が多い」。そう話す間にも「今、店に入ったのは日本人、あの人は中国人」と指さした。

 別の店の女性は、髪の毛の色の違いを理由に挙げた。日本の女性は若者も年配の人も髪の毛を染めている人が多いのに対し、中国人女性は黒髪のままが主流とか。男性も、髪形と髪の毛の色で見分けられるという。

 休日ともなると、一帯は地元の韓国人と日中からの観光客が入り交じる。外国語の呼び込みの声は、そんな街の活気を演出している。 (中村清)