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北京 お土産のあたたかさ

2014年04月29日

 春節(旧正月)休みに旅行しようと前日朝、北京空港のロビーで搭乗待ちをしていると、女性清掃員が「時間ありますか」と声を掛けてきた。彼女のやや思い詰めた表情にいぶかしむと、彼女は「(私の代わりに)免税店でたばこを4カートン買ってほしい」と言う。免税店で売っている外国製のたばこは、搭乗券が無ければ買い物ができないからだ。

 普段なら厚かましい要求として無視するところだが、理由を聞いて納得した。内モンゴル自治区出身という彼女は、春節で帰省する際に故郷で手に入らないたばこをお土産に買って帰りたいという。出稼ぎ労働者の思いがひしひしと伝わり、彼女からたばこ代を受け取り免税店に行った。

 残念ながら頼まれたたばこは2カートンしかなかったが、お釣りと一緒にたばこを受け取った彼女は「ありがとう」と何度も頭を下げた。それだけでは気が済まなかったのだろう、しばらくして、彼女は再びやってきて、紙コップに入ったコーヒーを「お礼です」と手渡した。何げないやりとりだったが、おかげで旅の始まりに良い思い出ができた。

 (新貝憲弘)

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