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オクラホマ 生き抜いた涙の旅路

2014年04月26日

 アメリカ・インディアンのカーリン・トムソンさん(60)は、小さいころから「涙の旅路」の話を聞いて育った。曽祖父は、米連邦政府に強いられた過酷な旅を生き抜いた1人。だが、兄と姉は旅の途中で兵士に撃たれて死んだ、という。

 連邦政府がチェロキー族やチカソー族などの先住民に押しつけた1830年代ごろの強制移住は、「涙の旅路」として今も語り継がれている。彼らは先祖伝来の故郷を追われ、現在のオクラホマ州まで泣きながら旅を続けた。途上で、少なくとも数1000人が命を落とした。

 曽祖父は故郷に戻りたくて途中で逃げたが、兵士に見つかった。一緒にいた兄と姉が撃たれて死に、2人の遺体を引きずってやぶに隠した、という。「たくさん死んだんだ。おなかが減って死に、川で溺れて死に、病気や寒さでも死んだ。でも、われわれは生き延びた」

 曽祖父は無理やり連れてこられたオクラホマの地で、一生を終えた。「今でもわれわれには生々しい記憶なんだ。そんなに昔の話じゃないんだよ」。トムソンさんは、家族から繰り返し聞かされた話を、そう教えてくれた。

 (吉枝道生)

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