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米アダ 幻想と現実のはざま

2014年06月08日

 インディアン・ネーションの最奥部へと至る道は、ウォルマートとマクドナルドの間を真っすぐ進む。

 アメリカ・インディアンが一定の自治権を持つ「ネーション」の一つを、オクラホマ州アダに訪ねた。待ち合わせ場所を聞くまで、偏見を持っていた。例えば「母なる大地と調和して暮らす心優しい民族」「現代文明に毒されていない人々」のような類型的な見方だ。

 だが、米国最大のチェーン店の間の道を入って-と指示されて、目が覚めた。勝手な幻想を抱き、押しつけるのは危険だ。先住民だって巨大商業施設で買い物をして、ハンバーガーを食べ、コーラを飲む。野球観戦をして、テレビゲームで遊ぶ。当たり前だ。

 古老に取材した。よそからやって来た白人に、どれほどひどい目に遭わされてきたか。先住民の伝統文化がいかに破壊されたか-。部族固有の言語も交え熱く語ってくれた。と、彼のポケットから、聞いたことのある着信音がする。「ちょっと失礼」と言うと、彼は最新のiPhone(アイフォーン)を取り出して、話し始めた。当たり前、かな。(吉枝道生)

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