2014年06月22日
深夜、自宅近くで起きたばかりの交通事故の現場に遭遇した。2人の男性が倒れたまま動かず、うち1人は頭からたくさん血を流している。かなりの重傷だ。ドイツ製高級車に相次いではねられたらしく、車がそばの商店の壁にぶつかったまま止まっている。
驚いたのは、運転していた若い女性が「誰がはねたっていうの!」と逆ギレし、何の救助もせず、電話し始めたことだった。明らかに酒に酔い、ろれつが回っていない。
さらに驚いたのは、周囲の人も、ほとんどけが人の救助に当たっていなかったこと。真剣に介抱していたのは一緒にいた友人たちぐらいで、居合わせた人の多くは遠巻きに眺めるだけ。現場が見える飲食店では酒を飲み続ける人さえいた。
思い出したのは数年前、広東省でワゴン車にひき逃げされた女児のそばを市民18人が素通りしていたというニュース。背景に、転倒者を助けた善意の人が損害賠償を請求される事件が頻発したことがあるという。
冷たい人ばかりではないとは分かっているが、そんな現場を目の当たりにしたショックは大きかった。(佐藤大)