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ウクライナ・スラビャンスク 声高な住民 背後には

2014年06月28日

 ウクライナ東部スラビャンスクで親ロシア派武装勢力が警察署を急襲し、玄関近くで廃タイヤを積み上げバリケードを築き始めた様子を取材中、親ロ派住民に取り囲まれた。女性に「西側メディアはなぜファシストの暫定政権を擁護するのか」と問いつめられた。続いて周りの十数人から「東部住民をなぜ(暫定政権のように)テロリストや分離主義者呼ばわりするのか」「日本のメディアもそうなのか」と質問攻めに。

 主張をまとめると、ウクライナの混乱は暫定政権の謀略の結果で、政権を支援する西側諸国に正義の国ロシアが対抗している-となる。そういう報道でないと「正しくない」。

 だんだんと声が大きくなる住民に身の危険さえ感じ始めたころ、後ろの方で住民らに耳打ちする迷彩服の男に気づいた。男から「指令?」を受けた住民が記者の前に歩み寄り、みんなに聞こえるように大声で持論を展開しては再び後ろに下がる。1人は「ここは(親ロ派の)ドネツク人民共和国。報道は(共和国にとって)正しい情報を流すべきだ」と主張した。迷彩服の男はロシアの工作員か? 確証はないが、今でもそう思っている。 (原誠司)