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ハルビン 教訓生かす展示とは

2014年07月08日

 中国黒竜江省のハルビン駅に開設された安重根(アンジュングン)記念館を参観した。初代韓国統監を務めた伊藤博文を暗殺した朝鮮独立運動家を顕彰しようと、暗殺現場となった駅構内そばに今年1月設置された。

 生い立ちや暗殺にいたる経緯などが中国語と韓国語のパネル展示で紹介されている。当時の日本の朝鮮半島統治への抵抗運動の一環として安を義士としてたたえる心情は理解できる。ただ、あまりにも「歴史教育」の色合いが強く、暗殺という手段まで肯定しかねない展示姿勢に違和感を覚えた。

 手段を選ぶ余裕などなかったとの反論もあるだろう。では中国国内で頻発しているウイグル族の犯行とされる「テロ事件」も許される行為なのか。たとえ中国政府の少数民族政策に問題があり、理不尽な差別による追い詰められた行動だったとしても、テロ行為自体を認める国はないだろう。

 伊藤博文の暗殺で日本では強硬派の勢いが強まり、中国大陸への侵略路線が定まったともされる。歴史を対日批判の道具としてでなく、多面的な評価をしてこそ教訓は生かされるのではないだろうか。(新貝憲弘)

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