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ウクライナ・ドネツク 銃の威を借る者たち

2014年07月20日

 親ロシア派の過激集団が占拠したウクライナ東部ドネツクの州庁舎は、タイヤのバリケードや有刺鉄線で幾重にも囲まれていた。

 荷物のチェックを受け、中に入る。ウクライナの中央政府を「ファシスト」呼ばわりするロシア語のチラシ、壁にはドネツク一帯が既に「ロシア領」と書かれた地図が貼ってある。

 広報担当を探し、階段を上がった。エレベーターは止まっている。ある階の入り口を開けると、カラシニコフ自動小銃を持った迷彩服姿の男たちがにらみを利かした。「11階だ」。ぞんざいに言われ、11階では8階、8階では知らないと言われ…。7階で担当と会うまでに、何丁の銃と出くわしたことか。

 廊下に放り出された州政府の書類やパソコンの山が、親ロ派の横暴ぶりを物語る。銃があるからこそ、彼らはわが物顔に振る舞えるのだろう。

 100万都市ドネツクに入る幹線道路では、銃口がまっすぐ車に向けられた。検問する目出し帽の男たちにトランクを開けさせられる市民は、じっと耐えている。カラシニコフの無法には従うしかすべのないその姿が、やるせない。(石川保典)

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