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中国・カシュガル 非日常も慣れれば…

2014年08月13日

 中国の西端、新疆ウイグル自治区カシュガルを訪れた。無差別襲撃事件がしばしば起きているだけに、市場や公園など人が集まる場所には装甲車に加え銃と盾を持った武装警察が周りを威圧する。パトカーや装甲車の巡回も頻繁にあり、市内は厳戒態勢に置かれていた。

 ただ、街に緊張した雰囲気はない。宿泊先のホテルやスーパーなどの出入り口には金属探知のゲートが設置されていたが、そばの警察官はゲートの警報が鳴っても呼び止めない。街を歩く人たちもこうした光景に慣れてしまったのか気にする様子もない。知り合いなのか、小銃を抱えた武装警察の隊員とウイグル族の若者が警戒線を挟んで談笑する姿すら見られた。

 なぜだろうと不思議に思っていたが、北京に戻って納得した。地下鉄駅には金属探知のゲートがあり、手荷物はエックス線検査を通さないといけない。小銃を抱えた武装警察が交差点の角に立っていたり、隊員たちを乗せた四輪駆動車が威圧するかのように街中を巡回する光景も珍しくない。新疆と変わらない状況にまひしている自分に気付いて初めて恐ろしくなった。(新貝憲弘)