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中国・ウルムチ 断食に見る民族意識

2014年08月31日

 新疆ウイグル自治区ウルムチに出張した際、ちょうどイスラム教のラマダン(断食月)の最中だった。太陽が出ている間は飲食してはならないとの知識はあったが、ラマダン中に「イスラム世界」に身を置くのは初めてのことで、新鮮だった。

 レストランで夕食をとろうとした時のこと。人々は日没まで一切食べ物に手を付けようとしなかった。秒数まで表示される時間を確認しながら、みな静かに待っている。日没時間を過ぎた途端、振る舞われたスイカなどを大事そうに味わっていた。聞けば「民族意識の高まりで、断食する人は増えている」と言う。

 一方、昼間に別のレストランで食事をしようとしたとき、かなり席が埋まっていた。ある人は「最近の若い人たちはあまり断食しないから」と話した。

 結局、断食をする人としない人、どちらが増えているのか、はっきりしないまま出張を終えてしまった。民族対立が激化する自治区では、当局がラマダン中の断食を規制しているとの話もある。食い意地の張る自分に断食は難しいが、ラマダンのありようの変化には注目したい。 (佐藤大)