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カイロ 断食の夜のお楽しみ

2014年09月04日

 6月下旬から7月下旬は、イスラム教徒にとっての聖なる期間「ラマダン(断食月)」だった。イスラム教徒は日の出から日没まで食事も水も取らない。街のレストランのほとんどは日没まで食事を提供しない。

 ラマダンは神のことを考えると同時に、こうした生活を通して貧しい人々の暮らしを知る時間でもあるそうだ。エジプトでは期間中、昼間の気温が連日40度にもなった。過酷さばかりが強調されがちだが、実際はそれだけでもないらしい。

 ラマダン期間中は仕事が早めに終わるため、夜は自宅にいる人が多い。テレビ局はラマダンの夜を狙った特別ドラマなどを多数制作。街には宣伝のポスターがあふれる。エジプトの人たちは、これらのドラマを楽しみにしている。

 また、日没後には、普段より豪華なごちそうを大量に食べる。知り合いのエジプト人女性は「ラマダンで太ってしまった」と話していた。一方、イラクのクルド人自治区では「僕はイスラム教徒だけど、世俗派だから断食はしない」と言う男性もいた。中東に赴任して初めてラマダン期間を経験し、その印象が少し変わった。(中村禎一郎)