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米 ロックハート 税に厳しい目脈々と

2014年09月05日

 「この裁判所は市民が火を付けても燃えないように、連邦政府が頑丈につくったんだよ」。米テキサス州南部のロックハートで出会ったビル・ハイマンさん(64)は築120年の裁判所の時計台を見上げた。

 風で砂ぼこりが舞う寂れた商店街。その中に石造りで欧風の裁判所がドンと立っている。周りの風景からは完全に浮いていた。それには理由がある。

 1860年代の南北戦争。南部11州が連邦脱退で戦い、南北合わせて米国史上最大の62万人が戦死した。父親や兄弟を戦争で亡くした南部の人々に追い打ちを掛けたのは、勝利した連邦政府が、荒廃した綿花農場に課した税金だった。

 ハイマンさんは少し自慢げに「前の裁判所は木造で、登記簿を保管していた裁判所が焼ければ課税がなくなると誰かが火を付けたんだ」と話した。再建された裁判所が頑丈なのは、市民の税への抵抗の産物だ。

 中間選挙が11月に迫る米国。テキサス州は増税反対、予算を徹底的に絞り込み連邦政府の権限を小さくすることを求める共和党の牙城だ。彼らの心情のルーツを見たような気がした。(斉場保伸)

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