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デトロイト 哀愁誘うチーム分け

2014年09月14日

 米デトロイトに住むブレナさん(29)が、子供のころの思い出を話してくれた。ドッジボールをするとき、父親がどの自動車会社に勤めているかでチーム分けをしたという。

 ゼネラル・モーターズ(GM)かクライスラーか、それともフォード・モーターか。選択肢は、その3つ。父でなければ、おじか祖父。「誰かが必ずビッグスリーで働いていたのよ」。彼女は自慢げにそう話した。

 だが、果たして本当にそうだったろうか。「モーターシティー」と呼ばれたデトロイトは、自動車産業とともに発展し、その衰退とともに没落した。彼女が子供だった1990年代は、既に日本車が台頭し、ビッグスリーは苦境の中にあった。

 工場などが閉鎖され、多くの大人が仕事を失っていたし、日系メーカーなどに勤務する親だって数多くいたはずだ。肩身の狭かっただろう彼らの存在を無視して、ビッグスリーで働く親だけにこだわったチーム分けは物悲しい。

 その後、GMもクライスラーも経営破綻している。ブレナさんには、「お父さんがどこに勤めていたか」とはさすがに聞けなかった。 (吉枝道生)

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