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ソウル ウナギ危機 国境なし

2014年09月09日

 日本の「土用の丑(うし)の日」のように、韓国にも暑い夏に滋養食を食べて精気を養う「伏日(ボンナル)」と呼ばれる日がある。7~8月に3回あり、最初の初伏(チョボク)(7月18日)には、鶏肉を煮込んだ参鶏湯(サムゲタン)やウナギを提供する店の前に、長い行列ができた。

 夏バテ気味の記者も先日、ウナギを食べに行った。韓国でも日本と同じようにニホンウナギを食べるが、値段が高く高級料理の位置付けだ。厨房(ちゅうぼう)でさばいたばかりのウナギを、店員がテーブルに設けたコンロで丁寧にあぶり、20分ほどで焼き上がる。約3センチ幅に切ったウナギをレタスに巻いて食べると、香ばしい味が口いっぱいに広がった。

 ウナギの価格は韓国でも、養殖に使う稚魚の減少で高騰している。訪れた店も昨年、値段を3割上げたという。隣で食べていた韓国人の家族連れは「ウナギは大好きだけど、高いからね」とこぼしていた。

 ニホンウナギは6月に絶滅危惧種(絶滅危惧1B類)に登録された。稚魚の減少は、日本での大量消費が一因とも。もっと食べたそうな感じの家族連れを前にウナギを頬張り、複雑な思いがした。 (島崎諭生)