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ベルリン ひとつしかない歴史

2014年09月21日

 「日本の授業では日本史と世界史を分けているでしょう。ドイツでは歴史は歴史で1つしかないわ」。先日、ベルリンで日本研究者のドイツ人女性(35)にそう教えられた。狭い土地に国がひしめく欧州で自国だけの歴史を書くのは難しいのだ。

 これだけでもかなり「自国中心史観」から自由だが、ドイツはフランスと共同で歴史教科書までつくった。記述内容での「対立はほとんどなかった」と独側執筆陣の男性歴史学者(41)。戦後何10年にもわたり歴史認識を共有する取り組みを続けてきた成果が出たのだという。

 静岡県立大の剣持久木教授(53)によると、独仏共通歴史教科書の起源は第1次世界大戦後の1928年にさかのぼる。大戦の深刻な被害で和解の必要性を痛感した仏側が働き掛け、第2次大戦の惨禍を挟み、80年ほどかけて実現した。

 歴史認識の違いが不安定化の要因になっている日本、韓国、中国でも、将来を見据えて目指すべき道だろう。「和解に必要なのは民間の交流と政治の決断」と説く剣持教授。経済や文化で結び付きが強まった今「必要なのは政治のリーダーシップ」と訴える。(宮本隆彦)

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