2014年09月17日

　外が薄暗くなりかけているのに気付いた。東エルサレムのパレスチナ人居住地で取材中のこと。ユダヤ人の入植について話をしていた男性の表情が急に変わった。「若者が外に繰り出し始めた。暴動が起こる」

　すぐに居住地を出ることにし、男性の息子に案内してもらうことに。車の助手席に乗ろうとすると「パレスチナ人と顔が違うので、ユダヤ人と間違われる。後部座席に乗ってくれ」と言われた。

　居住地から出られる道は４本。１カ所目の出口に近づき、住民に安全か尋ねると「若者とイスラエルの治安部隊が衝突している」。急いで別の出口に向かったが、他の２カ所は同じ状態だった。車の窓から外を見た。石を持った若者がたむろし、時折、車に投げ付けてくる。望みをかけた最後の４カ所目。そこに若者らの姿はなかった。

　パレスチナ自治区ガザ地区ではイスラエルとイスラム主義組織ハマスとの戦闘で多くのパレスチナ人が死亡している。そして、ユダヤ人への憎悪を投石で表すパレスチナの若者たち。暴力以外の解決法が見つかることを願わずにいられない。　（中村禎一郎）