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米レキシントン 熱き歓迎 酔いしれる

2014年09月19日

 米国には「サザンホスピタリティー」という言葉がある。日本語なら「おもてなし」。米国に滞在した3年間で音楽目当てに南部全州を回り、飾らない、人懐っこい南部人に魅了された。思わぬ場所で日本語で話し掛けられた経験も少なくない。

 テネシー州メンフィスのビールストリートで演奏していたブルースマンは聴衆に日本人を見つけると、突如「チーズバーガーまずい~。健康に悪い~」と日本語で歌い始めた。すぐに意気投合し、日本語を交えて未明まで酒を酌み交わした。

 独立記念日に訪れた同州ナッシュビルのライブハウスでは、日本人客に気付いた日本人のハーフの歌手が音頭を取って「バンザーイ」三唱。ほかの男性客から代わる代わる「飲め、飲め」とおごってもらい、女性陣とは慣れないダンスを踊った。

 両腕に「侍」「武士道」のタトゥー(入れ墨)を入れた白人青年と知り合ったのは、ケンタッキー州レキシントンのバー。「日本語の勉強をしたい」と話す彼と打ち解け、気分よく夜が更けた。翌朝、安モーテルで目を覚ますと、手が4カ所、腫れ上がっていた。南京虫の歓迎は余分だった。 (竹内洋一)