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ワシントン 方向音痴 実は策略?

2014年09月05日

 8月初めに赴任したワシントンの街並みは、東西に走る通りの名にアルファベット、南北に走る通りには数字が使われている。街路は碁盤の目のようになっているので、分かりやすいはず。なのに車に乗っていると、どちらに向かっているのか、分からなくなる。

 「よそ者に分かりにくく意図的に街が造られているという話がある。敵が攻めてきた時、大統領が避難できる時間を稼ぐためだそうだ」

 家探しを頼んだ不動産業者は車のハンドルを握りながら、声を潜めてこう打ち明けた。う~ん、いかにも怪しげな話だ。と助手席で首をひねっているうちに、謎が解けた。

 東西と南北に走る道ばかりでなく、斜めに走る通りもある。そうした道には「ニューハンプシャー通り」といったように米国の州の名前がついている。斜めの道が東西南北の道と交わる主要な交差点は、ロータリーになっている。そこをぐるぐる回っているうちに、方向感覚をたちまち失ってしまうのだ。

 ロータリーを歩いていても同じ体験をした。都市伝説は本当なのか、こちらが方向音痴なだけなのか…。(青木睦)