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ソウル 開発は選挙の前に?

2014年10月16日

 ソウル市が新たな都心再生策を発表した。中心部にあるソウル駅の脇を通る高架道路を廃止し、緑地と歩道からなる空中公園に変えてしまおうというプロジェクト。高架の貨物線跡を活用した米ニューヨークの公園がモデルという。

 幅10メートル、総延長940メートルの高架は、高度経済成長真っただ中の1970年に完成。老朽化が激しく撤去を決めたが、産業遺産として保存、活用する方向に転換した。

 思い出すのは、ソウル都心を流れる河川、清渓川(チョンゲチョン)の再生事業だ。水質の悪化などで地下水路となり、上部に高架道路も建設されたが、李明博(イミョンバク)前大統領が市長時代に復元を決定。2005年に完成し、今では市民や観光客の集う文化空間に変貌した。

 清渓川の成功は李氏の実績とされ、07年の大統領選で追い風になった。今回のプロジェクトを決めた朴元淳(パクウォンスン)市長も、各種の世論調査で次期大統領の有力候補に挙げられる人物だ。

 最近、やや寂しいソウル駅周辺の再生計画は、国のトップの選択にまで影響を与えるかもしれない。空中公園の完成予定は16年。そして、次の大統領選は翌17年。 (中村清)