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バンコク 広がれば狭まる商売

2014年10月19日

 バンコクの活気を象徴するものは何を置いても屋台だろう。食欲をそそる匂い、色とりどりのTシャツや靴・・・。一方で狭い歩道を占領している場合も多く、せっかちな人にはいらいらさせられることも多い。

 プラユット暫定首相は「歩道を国民に取り返す」とばかり、屋台の営業規制に乗り出した。ビジネス街シーロムでは10月をめどに、屋台の営業を午後7時~午前0時に限り、この時間外に営業していた屋台には別の場所を提供するという。

 夫と毎日、正午~午後5時に帽子を売るポーンさん(48)。「うちの店の前は人通りが少なくじゃまになっていないのに、狭い通路を占領する店と一緒にさせられてはかなわない」と嘆き「代わりの場所は自宅から遠く、そこまで商品を運べない。10年以上やってようやく軌道に乗ってきたのに。廃業するしかないのかな」と涙を浮かべた。

 屋台が増え、ますます歩きにくくなる夜間こそ規制すべきなのに、そうしないのは観光客対策などがあるからだろう。いつも犠牲になるのはポーンさんのような地道に働く人たちだ。彼女の深いため息が耳に残った。 (伊東誠)

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