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イタリア・モンギドーロ 歴史的要衝のうまみ

2014年10月28日

 今夏のローマは過ごし易く、避暑の必要を感じなかった。だが、バカンスが習慣となっている家人はクロアチアの海岸から北伊トレントの山岳地帯へとバカンスの「はしご」。ローマに戻るため南下する家人と合流、ボローニャから旧街道を登り、アペニン山脈に分け入った。

 海抜840メートルの山村モンギドーロで一休み。高速道路ができるまで、ポー川流域の平野部から中部トスカーナに抜ける交通の要衝で、古代ローマの後は「蛮族」が、16~18世紀には半島を制覇すべくスペイン、ドイツ、フランスの軍隊が通過、法王や皇帝、多くの文人らが峠越えの際に立ち寄った。

 第2次世界大戦末には、海抜903メートルの峠付近をドイツ軍が要塞(ようさい)化、連合軍の北上を阻んだ激戦地でもある。

 1960年にも小型車フィアット1100を駆って、ミラノから南伊への大旅行の途中この峠で休息した。家人は再訪にさぞ感慨無量かと思いきや、お目当ての地元料理に即トライ。トルテッリーニ入りスープに、キアニーナ牛のビフテキ。ボローニャとフィレンツェ、双方の味覚が味わえるのが県境の「うまみ」のようだ。 (佐藤康夫)