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バンコク タイ流メディア気質

2014年11月03日

 日本人男性の代理出産問題でタイのメディアが連日、警察に押し掛けた。そんな彼らの行動には面食らうことばかり。待ち時間になると、とにかく元気、よくしゃべるのだ。

 ある日の深夜、キーマンとなるタイ人医師が突然、警察署に弁護士を伴って現れた。当初、10人ほどの報道陣が、出頭を聞き付けるや、60人以上に膨れ上がった。

 医師が聴取される間、報道陣は狭い廊下で待つ。冷房はない。うだるような暑さだ。しかし、タイのメディアは構わず、しゃべる。こちらがいら立つほど。また、署員のトレーニングルームを見つけるや、マシンは占領されてしまった。何しに来ているのやら、本来の仕事はそっちのけ。警察官も注意しない。これも、おおらかな気質の表れなのか。

 ところが、別の日の昼間、警察署の講堂の外で捜査会議の終了を待っている時のこと。タイの女性記者2人がドアに耳をあてて、会議の内容を探ろうと必死に聞き耳を立てている。日本でも見られる光景だが、日頃の印象との違いに「なんて熱心な記者なんだ」と妙に感動。多くの日本メディアは、私も含め、スマホを手に撮影していた。(伊東誠)