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ベルリン 壁のない世界求めて

2014年12月22日

 作家の村上春樹さんが独紙の文学賞を受賞し、ベルリンの壁崩壊から25年となる日の前々夜、ベルリンで受賞スピーチをした。会場の新聞社屋は壁跡の脇にあった。

 10分ほどの英語のスピーチで村上さんは「壁」は異なる価値観を排除する論理の象徴だと語った。ベルリンの壁が市民の手で壊されたことを踏まえ、一人一人が「壁のない世界」を求め続ける大切さを訴えた。

 本当にその通りだと思う。体制変革といった大きな話ではなくても、私たちの社会には、性別や性的指向、病気や障害、学歴や雇用形態、経済格差や硬直した官僚や企業の組織など「壁」や「壁的なもの」がたくさんある。

 こうした生活の中の「壁」はベルリンの壁ほど分かりやすくはない。だから私たちはまず「壁」の存在を意識するところから始める必要があるのだろう。そして自由や安寧な生活が不当に妨げられていると分かったら、そして現状を変えたいのならば、声を上げるしかない。

 その時、私たち新聞は決して「壁」になることなく、その試みを応援する存在でありたいと思う。 (宮本隆彦)

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