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米バージニアビーチ 悲しきホテル暮らし

2014年12月21日

 大西洋に面した保養地バージニア州バージニアビーチは自治体名からして夏のリゾート気分満載だ。しかし、冷たい秋風の吹く砂浜は人影もまばら。来年夏までの長いシーズンオフに入っていた。

 「少し金を稼いだらホテルに泊まる。金がなくなったら彼らはまた路上生活で、行ったり来たりなんですよ」と、この地区のホームレス支援団体の担当者は説明した。

 海水浴シーズンが終わると、あらゆるホテルががら空きになる。高級ホテルも庶民向けホテルも当然宿泊料は超低価格に。そこが、つかの間の安住の地として、借金苦などで家を失った親子連れホームレスらを周辺地域から吸い寄せているのだ。

 公共の収容施設は数カ月待ち。仕事が見つからないままホテル暮らしと橋の下での生活を行ったり来たりするブレイズ君(21)は嘆いた。

 「風邪をひいて1週間仕事を休んだらクビになった。病気になった上に仕事まで失うなんてひどくない?」

 経済指標の上では着実に回復を続ける米国経済。しかし、彼らにはその恩恵が届いていないのが実情だった。 (斉場保伸)