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バルセロナ 独立問題 記者の苦悩

2015年01月07日

 「マスコミが独立派の道具になっているかのようだ」。独立問題に揺れるスペイン・カタルーニャ自治州。州都バルセロナに本社を置くエルペリオディコ紙の政治部記者、フィデル・マスレアルさんの表情が硬くなった。カタルーニャ語とスペイン語で、計10万部を発行し、地元でも1、2を争う大手紙。論調は、独立に好意的な他のメディアとは違い「中立」という。

 11月9日に住民投票が実施されたばかり。街中は独立支持派の声ばかりが際立つ。マスレアルさんにはマスコミがその気分をあおっているように映る。一方で、スペインにアイデンティティーを感じ、独立を望まない住民も多い。「その声が届かず、行き場をなくしている気がする」

 故郷の将来を左右する問題をどう伝えるのか-。地元紙記者としての悩みの深さを知った。

 取材後、編集局を案内してくれた。記者が行き交う局内で、自分がかつて所属した、社会問題を追及する部署を指さした。その記事は新聞の“売り”の1つだという。失業問題や格差、教育問題…。他にも重要な課題は山積している-そう訴えている気がした。 (渡辺泰之)