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ソウル 昔も今も行き過ぎ?

2015年01月08日

 「今の雰囲気が、いつまで続くのか…」。韓国観光公社で日本人観光客の誘致に取り組む責任者が、苦しげにつぶやいた。韓国を訪れる日本人の数が、昨年に続いて今年も大きく落ち込んでいるからだ。

 観光公社によると、昨年は前年比で20%減ったが、今年も年間で15%程度の減少となりそう。歴史問題などによる日韓間の冷え込みに加え、ヘイトスピーチ(憎悪表現)デモや私たちメディアの伝え方も人の往来に影響を及ぼしているのだろう。

 この責任者は「韓流ブームの当時と今と、どっちが本当の日本の姿なのか」と思い悩む。「かつてのブームは“飛ばしすぎ”という印象だったが、今は逆にブレーキをかけすぎている状態ではないか」とも。

 ソウルの街中の「雰囲気」自体は、韓流ブームに沸いた当時と比べても、それほど変わっていない。家族や同僚と食堂に入れば、店員や他の客らと、たわいもない話に花が咲く。先日は飲食店のトイレで、初対面のサラリーマンと酔いも手伝って話が盛り上がり、名刺交換して再会を約束した。そんな変わらぬ日常があることもまた、事実なのだが。 (中村清)