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カンボジア・バタンバン 心の傷カットしたい

2015年01月20日

 首都プノンペンから車で5時間。フランス植民地時代に建てられた古風な建物が並ぶ街にたどり着いた。

 バタンバンはカンボジア第2の都市だ。フランスパンのサンドイッチを売る屋台などが川沿いに並ぶ。反政府組織ポル・ポト派が長く居座った地域とは思えない、のどかな雰囲気を感じていたら、息をのんだ。

 中心部の市場に立つ時計台に針がない。「ポル・ポト派が抵抗した名残です。人々の心の傷もまだ、癒えません」。そう語る通訳の男性(45)も、この市場で家族が散り散りになり、難民キャンプへ逃げ込んだ。

 薄暗い市場に入ると、美容院が4軒並んでいる。フラッシュをたいて写真撮影すると、なぜか歓迎された。「電気代が高いから、明るい光があると大助かりなの」。冗談のようだが、周りがあまりにも暗いため、妙に説得力がある。

 美容師歴6年のスコンティーナさん(25)に、4軒も並んで商売しづらくないのかと尋ねると「4軒もあるから、自分が一番になりたいとがんばれる」。暗い過去を背負う街で、聞こえてきた前向きな力強い言葉に、ほっとした。 (伊東誠)

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