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パリ 揺らぐ「フランス人」

2015年04月02日

 「イスラム教徒って、危ない人たちなの」。パリに住むダリルさん(36)は、小学生の娘からの問いに言葉を失った。移民系で教師のダリルさんは、敬虔(けいけん)なイスラム教徒だ。「友達にでも言われたのか。とても悲しいことです…」と声を落とす。

 パリのテロ事件後、イスラム教徒と過激派を「同一視」する空気を強く感じるという。「レストランにいても、地下鉄に乗ってもじろじろ見られる」。移民系が事件を起こすと「アルジェリア系」などと出自を記載するメディアを「差別を生んでしまう」と批判。「私も同じように卑劣な事件に心を痛めるフランス人なんです」と話した。

 空港で働くマジードさん(27)も今のフランスに「生きにくさ」を感じる1人だ。移民系の若い世代は失業率も高く、仕事を探すのにも苦労する。有形無形の「差別」も現実にある。「お金に余裕があるなら他の国で暮らしたい」

 国内に500万人が住むとされるイスラム教徒らにも暗い影を落とした一連のテロ事件。彼らの声は国民間の「分断」という重い課題を背負うフランスの現実を映し出している。(渡辺泰之)

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