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中国・大同 失われた風情戻らず

2015年03月25日

 中国の春節(旧正月)休みを利用して山西省大同市を旅行した。家族で手軽に回れる場所として選んだが、くしくも20数年前の留学時に回った観光地を再度訪問することになり、当時の様子を思い出しながら変化を探す楽しさを味わえた。

 訪れたのは、切り立った岩壁の中腹に張り付いたような建物で知られる懸空寺、約千年前に建てられた木造建築物の木塔、そして世界文化遺産に登録されている雲崗石窟。

 前回はろくに舗装されていない田舎道を何時間もかけて回った記憶があるが、今は高速道路が整備され移動は便利になった。駐車場や切符売り場も立派な建物になっており、中国の経済力を実感させられた。

 ただ、前回は最上階まで上ることができた木塔は、建物の保存のため一階部分しか中に入ることができなくなっていた。さらに雲崗石窟では、洞窟に彫られた仏像などを保護するためにガラス板があちこちに張られており、よく見ると壁面のあちこちに落書きの跡があった。

 不便だったがじっくり楽しむ余裕があった中国の国内旅行。そんな風情も今は昔となったのは寂しい。 (新貝憲弘)