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米アーリントン 終わりのない「戦争」

2015年04月13日

 米バージニア州アーリントンにある海兵隊の戦没者記念碑を訪れた。首都ワシントンを一望できる高台には、太平洋戦争末期の70年前、硫黄島の摺鉢(すりばち)山に大きな星条旗を掲げる隊員たちの像がある。

 その有名な彫刻の台座には、海兵隊が参戦した数々の戦争が記されている。18世紀の独立戦争に始まり南北戦争、二度の世界大戦、ベトナム戦争、湾岸戦争・・・。だが、イラク戦争の名前はなかった。

 推定で4000人以上の米兵が死亡した戦争。最前線で戦った海兵隊員の戦死者もかなりの数に上るはずだ。まさか、実はまだ続いているとか。いや、オバマ大統領は2011年末に「終結」を宣言している。

 ふつふつと湧いてきた疑問を管理人に問い合わせた。答えは「議会が議決するまでは、戦争が終わったとは言えない。つまり、続いているのです」。そこまで聞いて、台座の刻銘はどちらでもよくなった。

 今も心の傷に悩む帰還兵。戦地で命を落とした米兵の家族。それぞれの「戦争」に終わりはない。この先ずっと、新たに名前が刻まれるような戦争が起きないことを願う。 (北島忠輔)