2015年04月10日
日本の映画を紹介する国際交流基金の催しが2月、エジプトの首都カイロで開かれた。多くのメニューのうち、エジプト人の知人とともに実写版の「あしたのジョー」(2011年版)の上映に足を運んだ。
映画は戦後、日本がまだまだ貧しかった時代が舞台。昭和30~40年代の風景だろうか。清潔とはいえない格好をした登場人物たちや舗装が不十分な道、今にも崩れ落ちそうな建物は、現在のエジプトの貧困街を連想させる。
エジプトでは現在、若者たちに仕事がなく、結婚もできず、国家財政も厳しい状態が続いている。国際経済会議を3月に開催し、国外から多くの投資を呼び込んだ。これからの発展に対する期待は大きい。
国際交流基金によると、これから発展しようとしている時代の日本が描かれているので、エジプト人に共感してもらえるのではないかと、あしたのジョーが選ばれたという。
知人のエジプト人は上映後「日本にも映画の中のような時代があったなんて驚き」と話した。昭和50年代生まれの記者は、映画の時代から現在の社会を築いた先輩たちの努力に思いをはせた。 (中村禎一郎)