2015年04月11日
「どうしてそんなに大きなマスクをしているの?」。3月上旬、ニューヨークに赴任するため成田空港発の飛行機に乗るとすぐ、隣席の米国人女性が、私の顔をのぞき込むように質問してきた。
機内は空気が乾燥している。「風邪を予防するためだ」と説明すると「なるほどね」と一応納得の表情を見せた。
この女性は2年間のタイでの生活を終え、日本経由で故郷のニューヨークに帰る途中だという。機内にはほかにもマスク姿の日本人が散見されたが、彼女は奇異に感じたらしい。最後には「理由を聞いたから大丈夫。気にしないで」と笑ったが、私が感染性の病気なのではと不安を持ったようだ。
日本では、花粉症が猛威を振るう時期はもちろん、冬場の寒さや乾燥対策としてもマスクをする人は増えている。「表情を他人に見られずにすむ」という理由で着用する若者もいる。
しかし、欧米では逆に「感情が分かりにくい」と警戒されると聞いたことがある。実際、ニューヨークの街を歩いても、マスク姿の人は皆無だ。マスク着用は就寝時に限るとしよう。 (東條仁史)