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北京 幸運を呼ぶ散髪デー 

2015年04月30日

 伸びた髪の毛を切ろうと思い立ち、以前に利用した理髪店に電話した。3月21日のことだ。春の訪れとともに気温がぐんぐん上昇。短く切らないと暑苦しく感じてきたからだ。

 ところが、理髪店の主は「その時間は忙しくて無理。さらに2時間後にして」と慌てた様子。いつも閑散とした店なのにどうしたことか。約束した時間に店に行くと、髪を切りに来た客が私のほかに4人も。約30分で手早く私の髪を整えた主は、すぐさま別の客に取り掛かかり、一息つく暇もないほどだ。

 翌日、中国の新聞を読んでいてやっとその理由が分かった。旧暦の2月2日に当たるその日は中国で「龍抬頭」と呼ばれる。この日に髪を切ると幸運が舞い込むとの言い伝えがあり、今年も各地の理髪店が大繁盛したと記事にあった。

 北京市内の有名な理髪店でも朝5時から行列ができ、客数は普段の3倍、平均待ち時間は3時間だったという。

 たまたま当日に散髪できたのは幸運だったからかも。記事の最後は理髪店員の言葉で締めくくられていた。「2月2日に髪を切りたければ早めの予約を」 (秦淳哉)