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パリ 握手でなく「チュッ」!

2015年05月12日

 フランスで暮らし、どうしても気後れしてしまう習慣がある。「bise」である。ビズとは、フランス人が家族や友人と頬を合わせて交わすキスの事。本当にブチュッとキスしても良いそうだが、軽く口で「チュッ」と音を鳴らして頬を合わせるのがスマートだ。

 ビズには、ほろ苦い思い出がある。初ビズは留学時代。若い女性教師がフランスを離れることになり、クラスで贈り物をした。感激した先生はビズをして回った。「右から? 左から?」「手の位置は」「落ち着け!」…。いろんな事が頭をよぎり、先生が目の前に来るころには口がカラカラに。「チュッ」の音さえうまく出なかった。

 学校の最後の日。みんなで別れを惜しんだ。「またね!」。コロンビア人の女性に声をかけられた。日本男子らしく、迷わず右手を差し出した。「こんな時、普通、ビズよ」と笑いながらあきれられた。

 友人によると、一度のビズで頬を合わせる回数は地域で異なり、フランス人でも戸惑うこともあるそうだ。いずれにせよ、中年の「初心者マーク」にはハードルの高い「文化」である。 (渡辺泰之)

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