2015年05月20日
少しおおげさに刻み込んだしわは年齢を強調する狙いだろうか。ヒラリー・クリントン前国務長官が次期米大統領選への立候補を表明した4月12日、選挙対策本部が入るニューヨーク・ブルックリンのビル周辺には、クリントン氏の似顔絵ポスターが何枚も掲げられていた。
近くで見ると、しわのほかにも、クリントン氏を連想させる言葉として「AMBITIOUS(野心的な)」などの表現もある。知人の米国人女性によると「この言葉は女性に対して好意的に使われるものではない」という。真意は分からないが、クリントン氏の立候補に批判的な人物が手掛けた「作品」のようだ。AP通信は「名もなき芸術家が掲げた」と報じた。
クリントン氏が当選すれば初の女性大統領の誕生となる。国務長官在任中に私用のメールアドレスを公務に使っていた問題で、人気に陰りは見えるが本命候補であることに違いはない。注目される選挙だけに「ネガティブキャンペーン」が激しくなることも予想される。
このポスターは、選挙の公示などはない米国で、すでに選挙戦の号砲が鳴ったことを静かに物語っている。 (東條仁史)