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北京 俳優ではありません

2015年05月28日

 ささやかな人生で初めて映画祭のレッドカーペットを歩いた。

 北京市政府主催の国際映画祭。日本からノミネートされた園子温監督の作品を取材するため、プレスカードを取得。日本なら何の問題も起きないはずだが、中国では必ずスリリングな出来事が待っている。

 世界初上映となる大劇場に到着するとすぐに緊迫感が伝わってきた。ふだんの警戒レベルと全く違う。武装警察部隊に交じって対テロ班まで展開。劇場に近づこうとプレスカードを見せたが、相手にすらしてくれない。主催の市政府側と警察の連携が悪く、既に対立状態だった。

 主催者側に連絡すると、裏口に回れとの指示。なんとか劇場内には入ったが、今度は政府関係者だけに事前配布されたチケットがないと鑑賞できないと知らされる。初上映には政府幹部や有名な審査員、香港、台湾など中華圏のスターが勢ぞろい。厳戒態勢の理由は分かった。

 主催者側と交渉した結果、「秘策」がひねり出された。園監督や俳優の後ろに付き、スタッフの顔をしてレッドカーペットを歩けば会場に入れるとの提案。なるほど。でも、この発想が恐ろしい。 (白石徹)

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