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カイロ 観光地に安定の兆し

2015年05月26日

 先日、久々にギザのピラミッドに足を運んで驚いた。ラクダ乗りの客引きが以前より紳士的になっていたからだ。「ガイドだ」などとうそをつき、強引に腕や荷物を引っ張り、実際に乗れば法外な値段を請求された1年前とは見違えるようだ。

 考古学博物館があるカイロ中心部のタハリール広場やその周辺も、大きく変わった。広場の地下には巨大な地下駐車場が完成。慢性的な交通渋滞の一因だった路上駐車は激減している。最近はカイロ空港の警備職員から「チップをよこせ」としつこく求められることも、前より減った気がする。

 中東各国では、民主化運動「アラブの春」により独裁政権が崩壊。その後は混乱が続いてきた。エジプトでも2011年にムバラク独裁政権が倒れて国内が混乱。国外からの観光客は激減し、ピラミッドでは強引な客引きが目立つようになったといわれてきた。

 もちろん今も、エジプト国内では過激派が活動し、爆弾テロも起きている。しかし、ピラミッドやタハリール広場などでふと気付いた変化の中に、混乱収束の兆候が表れ始めていると信じたい。 (中村禎一郎)