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インドネシア・バンドン あの日も同じ人の波

2015年06月15日

 インドネシアの首都ジャカルタと同じジャワ島で、西部の高原地帯にあるバンドン。冷戦下に第三世界の団結を示したアジア・アフリカ会議(バンドン会議)から60年たち、開催地だったこの街で4月下旬に記念行事があった。

 各国首脳が出席したため会場周辺では厳しい交通規制が敷かれたが、解除されたとたん、大勢の老若男女が街に繰り出した。道を埋め尽くし、あちこちで記念撮影している。観光客ではなく、ほとんどが地元の市民だ。なぜ集まっているのか聞くと「記念日だから」と答えが返ってきた。

 バンドンは第二次世界大戦の後、インドネシアが独立を目指した戦いの舞台となった。市民には、この街は反植民地主義の象徴だという自負がある。だからこそ60年前にアジア・アフリカ会議が開かれた。その「記念日」は、みんなで祝う価値があるのだろう。

 無料開放された博物館も大にぎわいだった。街の移り変わりを伝える写真展には小中学生の姿も多かった。60年前の白黒写真を見たら、この日と同じように人が街にあふれていた。 (大橋洋一郎)