2015年06月11日
中国に赴任後、日本で容易に入手できても中国ではなかなか買えないものが気になっていた。例えば首に掛けるスマートフォン用のストラップ。大切なスマホを落としては困ると思って探し回ったが、見当たらない。そんな折、日本製の雑貨を集めた店が北京にオープンしたと聞き、心を躍らせて出掛けた。
ところが、店内には包丁やまな板といった台所用品、風呂やトイレの掃除用具など、生活に直結した品物がずらり。本当にこれが売れるのかと心配になって尋ねると、経営者は「本物の日本製品は中国で人気が高い。年間20億円の売り上げを目指す」と強気だ。一方で「本物を偽物だと誤解して、買うのをためらう人もいる」とも。
確かに訪日した中国人の「爆買い」は日本製品への信頼の証しだろう。店が繁盛してくれればうれしいが、広々とした店内を隅々まで探しても、ストラップはなかった。
それもそのはず。中国では大半の人が手にスマホを持つか、無造作にポケットやかばんに入れたままだ。必要がないものは本物でも偽物でも売るはずないのだ。自分をそう納得させて店を出た。 (秦淳哉)