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ホーチミン 戦争の記憶より現実

2015年06月19日

 ベトナム戦争終結四十年の取材で二つの施設を訪れた。

 枯れ葉剤や戦争の悲惨さを伝えるホーチミンの戦争証跡博物館。写真の力に圧倒される。毎年七十万人以上が訪れるという。「戦争の記憶が風化していると感じますか」との質問に、バン館長は「訪問者は減っていませんよ」と否定。「日本の博物館のノウハウを参考にしていますから」と笑みを浮かべた。

 ベトコンの地下基地クチトンネルも熱気に包まれていた。米兵対策で仕組んだ罠(わな)、一人通れるかどうかという狭いトンネル…。大国を何とか負かそうと挑んだ小国の意地を感じさせる。

 見たところ、双方の施設とも訪問者の七割近くが外国人。ベトナム人は授業で訪れる生徒や旧兵士以外はあまりいない。

 ホーチミンの若者たちは戦争を知っていた。しかし、大学生ルン・ホン・アインさん(20)は「戦争は良くないけど、卒業や就職など自分のことが大事。平和や国は二の次」。こだわるのはやはり身近なことだ。

 経済成長目覚ましいこの国が、何か大きな忘れ物をしてしまわないように-。 (伊東誠)

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