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ワシントン 事故にみる市場原理

2015年06月18日

 全米鉄道旅客公社(アムトラック)で五月十二日に起きたワシントン発ニューヨーク行き列車脱線事故で、列車はくの字に折れ曲がり、八人が死亡した。米国の鉄道史に深い傷を付けたのは間違いない。

 発生から一夜明けたワシントン中心部にあるユニオン駅。カウンターには大勢の人が詰め掛け、長い列ができていた。キャンセルの列かと思ったら、鉄道旅行に向かう人たちだった。

 ボルティモアに向かうオーストラリア出身の学校教員、ジャン・スミスさん(59)は「どの移動手段だってリスクはあるからね。でも、本当に悪夢のような出来事だった」と話した。

 ニューヨークまで鉄道とバスを乗り継ぐというトム・ファーレンさん(67)は「遅れることも含めてそれが鉄道なんだよ。うまくつきあわないとね」。これから列車に乗るだけに、強気を装っているようにみえた。

 さて、鉄道の区間運休が続く間、ワシントンとニューヨークを結ぶ航空料金は、旅客の集中と競争相手がいないことで一時的に通常の三倍以上に跳ね上がった。現金なようだが、市場原理は事故の衝撃とは無関係なのだった。 (斉場保伸)

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