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北京 焼酎バー惜しまれ幕

2015年07月02日

 北京にあった焼酎バー「地蔵」が5月、10年の歴史に幕を下ろした。ちょっと口の悪いシャンプーさん(37)と照れ屋のイケメン・てっちゃん(38)。日本人2人のコンビが切り盛りしてきた店は、日本人定住者や駐在員のオアシス的な存在だった。

 2人は北京の大学で薬学を学んでいたが「焼酎ブーム」にも乗って一念発起。一時は上海にも店を構える盛況ぶりだった。

 だが、日中関係悪化に伴う日本人の減少や家賃の上昇が影響する。5年契約が切れるのを機に店を畳むことにした。最終日には、バンコクや上海からも元常連客が駆け付け、座る場所もないほど。思い出話に浸ったり「これから行く場所がなくなる」と嘆いたりしながら、思い思いに杯を重ねた。

 常連客からの紹介もあり、2人は近くのうどん店を任されることになり、既に働き始めている。中国人従業員たちの接客の仕方や店の飾り付けなど改善の余地はいっぱいだ。

 「お客さんのおかげで10年やれた。でも、お客さんが思うほど寂しいという気持ちもないんです」とシャンプーさん。変化が激しい中国で、立ち止まっているヒマはない。 (佐藤大)