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米ボルティモア ディズニー化の陰で

2015年07月13日

 警察に反発した黒人住民らが暴徒化したボルティモアに外出禁止令が出たのは4月末。ある本に「ディズニー化した街」と紹介されていた港町は、発令直後に取材に入った日の夜、異様な静けさに包まれていた。

 翌日、街中を歩いた。確かにインナーハーバーと呼ばれる港は、大型店や水族館などがディズニーランドのように整然とつくり込まれている。暴動の警戒にあたっていた警察官が「この光景は衰退の歴史を表しているんだ」と話し掛けてきた。

 聞けば、ボルティモアは国歌「星条旗」が生まれた古都。かつては漁港、貿易港として栄えたが、1960年代以降は活力が失われ、市の中心部は貧しい黒人住民が暮らすスラムと化した。そこで市が取り組んだのが港湾エリアの再開発だった。

 警察官は言わなかったが、地元の大学教授によると、この間に警察は黒人を標的とした取り締まりを強化。住民の六割以上を占める黒人らは警察への不信を募らせていったという。

 その歴史こそが白人と黒人、警察と住民、富裕層と貧困層の分断につながっている。「ディズニー化」では覆えない米国社会の現実がある。(北島忠輔)

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