2015年07月14日
妊娠中絶は原則禁止、年間3700人の女性が手術のため英国へ。そんな保守的な価値観を残すアイルランドで5月、同性婚を法的に認めるかどうかが国民の投票に託された。
ダブリン市内は「Yes」「No」のポスターが張り巡らされ、真っ二つの世論を象徴していた。目立ったのはやはり、若い世代中心の賛成運動だ。制服姿の女子高校生が、大学生から「Yes」のステッカーを受け取り、うれしそうに身に着ける光景も何度も見た。
国民投票の翌日、ゲイカップルや支援者が集まったダブリン城の広場にも、投票権のない17歳以下の高校生らの姿が。結果は賛成6割。ほおに虹色のペイントをしたオーウェンさん(16)が声を弾ませた。「この国をとても誇りに思う。アイルランドは変わる」
「若者の運動はまるでファッション感覚」と反対派の女性(50)は嘆いた。確かに「Yes」を掲げるのがおしゃれに映った面もありそうだ。でも、足元のうねりが国を動かしたという実感は、この国の未来に大きな力になると思う。高揚感が収まった翌日も、街には自信がみなぎっていた。 (小嶋麻友美)