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カイロ これで伝える大和魂

2015年08月06日

 「競技を通じて精神力が鍛えられる」。カリム・ケドゥルさん(27)とムハンマド・ファルガンさん(24)はそう話す。カイロ郊外に住むマリアム進士洋子さん(62)が、チャンバラごっこを基にした競技「スポーツチャンバラ」をエジプトに伝えてから20年以上がすぎた。

 1977年にエジプトに移り住んだ進士さんは、生け花展や着物のファッションショーといった両国の交流行事に参加していた。しかし、一過性で終わってしまうような気がしていた。

 スポチャンに出合ったのは91年に一時帰国した時。競技に打ち込む選手の姿に美しさを感じ「一緒に汗を流せば国際交流になる」と考えた。それ以来、3カ月に一度帰国し、横浜の道場に通った。2年間で黒帯を取得し、94年からエジプトでスポチャンの指導をしている。

 2011年以降は民主化運動「アラブの春」による混乱で、稽古も満足にできない状態となり、競技人口が激減。しかし最近、本格的に活動を再開させた。「日の丸を背負っているようなつもり」。生徒たちが、進士さんの向こうに日本を見ていることは間違いない。 (中村禎一郎)