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独クリュン オバマ氏が村に来た

2015年08月12日

 「オバマ米大統領はどの位置に腰掛けたの?」。今年の先進7カ国(G7)首脳会議(サミット)が開かれたドイツ南部クリュン村の高級ホテル・エルマウ城の経営者ミュラーエルマウさん(60)に尋ねると、即座に答えが返ってきた。「ど真ん中。何の迷いもなくね」

 今年のサミットでドイツ各紙は、庭のベンチで腕を背もたれに預けたオバマ氏と、その前で手を広げたメルケル独首相の写真をこぞって掲載した。ベンチは横幅7、8メートルと長い。真ん中を探すのも大変な気がするが、米大統領たるもの堂々とした振る舞いがごく自然に出るものなのか。電車や居酒屋では隅っこが好きな私も、この時ばかりは中央に腰掛けて記念撮影した。

 オバマ氏の存在感は首脳の中でも別格だったようで、握手する幸運に恵まれた若い女性従業員は、3週間後の取材時でさえ「気さくで親切。なのに特別なオーラがあった」とうっとりしていた。

 オバマ氏は来年5月の三重県・伊勢志摩サミットにも参加する。超大国の威信を身にまとう大統領が、地元の人たちとどんな交流をしてくれるのか、今から楽しみだ。 (宮本隆彦)